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自分のやりたいことができるようになる 折れない心コーチング ーrescueJ’s blogー

元航空自衛隊のRESCUEパイロットが自分のやりたいこと、自分が何ができるかを発見できるようになる、折れない心(レジリエンス)について4つの原則を中心にお話ししてます。

陸上自衛隊偵察機 LRー2 災害派遣中の墜落から考えること

 今回は、ある方から今回の事故について、パイロットとしてどう思うか質問を受けたので、この場を借りて少し話したいと思います。

 

 

 

まず初めに

残念ながら災害派遣任務中にお亡くなりになられた、4人の陸上自衛官のご冥福をお祈りします。

 

 

 

 ニュース報道で偵察機の行方不明(レーダーロスト)生還して欲しかった、ただそれだけが願いでした。

 

 航空自衛隊在職時も多くの仲間を航空機事故で失いました。

 

行方不明の情報を得た時はいつも、必ず生きていると思い、捜索任務に向かいます。

地上に残っている整備員も同じ思いです。

 

しかしながら、陸上部での事故において、航空機が行方不明になった時の生存率というのはかなり低いものになっているのは事実です。

 

そんな中、私が在職中に陸上部での捜索任務に従事した時に、生存者を発見できたのは本当に奇跡でした。

過去記事にその時のことを書いています。 

www.orekoko.com

 

事故の要因

 

事故調査

 

事故は様々要因が重なり合って起きるものです。

自衛隊でも事故調査委員会が事故原因について調査をします。

http://www.clearing.mod.go.jp/kunrei_data/a_fd/1955/ax19550526_00035_000.pdf

上記のリンク先にある、自衛隊の訓令にその細部が記載されています。

今回は、陸上自衛隊事故調査委員会がその任務に就くことになると思います。

 

また、民間機の事故であれば、国土交通省運輸安全委員会航空・鉄道事故調査委員会)がその仕事を行います。

http://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/aircraft/

 

事故が起こるたびに、マスコミ報道で事故原因について専門家やコメンテーターが事故原因について、推測(いや憶測か?) しています。

専門家と言われる人でさえ、事故調査に関しては素人の人が多いです。

そんなマスコミで報道される情報が世論を形成したりします。

また、その後に裁判が行われるような事故であれば、裁判の判決にも影響するのが事故調査の報告書です。

 

 

事故調査は何の目的があって行うのか

 

航空自衛隊では、先ほどの訓令に基づき、航空幕僚長が逹を制定して事故調査に関しての細部要領についてしめしています。以下がそのリンクです。

http://www.clearing.mod.go.jp/kunrei_data/g_fd/1985/gy19851009_00025_000.pdf

 

この中の第19条に以下のように記されています。

 

(航空事故調査報告書等の使用制限)

第19条 航空事故調査報告書及び調査資料は、航空事故の再発防止のために使用する ことを目的とし、隊員の勤務状況を判定する資料及び懲戒処分の証拠等に使用して はならない。

 

 事故調査後に事故調査報告書というものを報告文書として作られますが、事故の原因を明らかにするために作られているものであるので、そのほかの用途には使用してはいけないことになっています。

 

とはいうものの、調査の中で明らかになった事故要因に、人為的なことが含まれていれば、

・懲戒処分こそされないものの故人の尊厳を傷つける可能性

・航空機の運航に携わった隊員にも影響を及ぼす可能性

などが起こることが推測できます。

 

本来事故の要因を客観的に資料を集めて、再発防止にするのが大きな意味であるのに、違った用途に使われることが一度でもあると、誰もが本当のことを話さなくなる可能性があります。

 

先ほども言いましたが、マスコミで誇張され報道されたり、裁判で利用されることも考えると、言いたいことが言えなくなることもあると思います。

 

今回の事故に関して思うこと

 

今回は、札幌飛行場(丘珠駐屯地)から離陸して、函館空港に緊急空輸を必要としている患者を迎えに行くという任務でした。

 

天候が悪く、計器飛行方式(IFR)での運航であったので、雲中を飛行していたと推測できます。

 

事故があったのは、下記の写真の通り函館空港に着陸する最終進入経路(ファイナル)で起きたものと思います。マスコミ報道の場所とグーグルマップからイメージ図を作りました。

 

f:id:rescueJ:20170516185437j:plain

 

パイロットは、自分の飛行している位置、高度、速度などを計器から判断して進入する方法で着陸をしていたもので思います。

次の写真の滑走路延長線上に近いところに設定されている、進入経路を飛行して行くことになると思いますが、地形は何も見えていないので空港までの距離と方位で自機の位置を把握します。(地図表示ができる装備がある航空機は、地図も参照します。)

 

f:id:rescueJ:20170516185442j:plain

障害物、今回は山岳部の一番高いところから安全高度を足した高度を飛行するように進入経路が設定されているので、計器が誤表示すれば安全に着陸はできなくなります。

 

また、ある程度の安全高度が設定されていますが地面との間隔が狭くなって行く最終進入中は、短時間の操縦不能状態や下降気流により、地面に激突するリスクが高くなっています。

 

 

私見という罠

私自身は、関係者でもありませんし、当該機に乗ったことも函館空港に計器進入をしたこともありませんので、何もいうことはできないと思っています。

 

今回、敢えてここまで地図などを用いて分析したのには理由があります。

 

それは、私というフィルターを通して考えたことは、やはり私の意見でしかないんです。

 

パイロットでない人から見れば、パイロットの意見というのはかなり詳しく分析できるものですが、真実ではないんですね。

 

だからすいません。あまり推測で意見を言いたくないというのが、私の考えです。

 

専門家だから、パイロットだから、間違い無いだろうと思う方が多くいる中、専門家だからこそ意見は慎重にいうことも必要であると思っています。

 

まとめ

 

ヒューマンエラーが事故原因になることは多くあります。

 

パイロットがしなくてはいけないのは、その事故の原因を知ること以上に、その事故から自分が事故を起こさないようにする教訓を得ることです。

 

事故原因は最終目的ではなく通過点。

 

飛行関係者には、今後も仲間が命をかけて作った教訓を無駄にすることなく、日々のフライトに臨んでほしいと思います。