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自分のやりたいことができるようになる 折れない心コーチング ーrescueJ’s blogー

元航空自衛隊のRESCUEパイロットが自分のやりたいこと、自分が何ができるかを発見できるようになる、折れない心(レジリエンス)について4つの原則を中心にお話ししてます。

折れない心 社会編 長野県消防防災ヘリコプター事故から考える。〜他者を頼ることができて、初めて自立した自分に気づく〜

 

長野県の山岳事故

 

先日、長野県消防防災ヘリコプターが墜落した事故以降の状況をまとめて見ました。

まずは、長野県の山岳事故状況ですが、長野県警察の発表資料を見て見ました。

長野県内の山岳遭難発生状況(週報)/長野県警察

これによると、平成29年度は昨年度よりも山岳事故が多くなっているようです。近年のデーターだけですので、長期的な傾向まで分析していませんが、山岳地での事故は引き続き発生していることはわかりました。

 

長野県の対策

 

自己調査関連

マスコミ情報も新しいニュースしか出てこなくなったので詳細がわからないですが、機体の回収について方針が決まったようです。

www.sankei.com

機体を回収してわかることとには限度があると思いますが、事故原因が機体のトラブルであるかないかが判明すれば、期待を整備していた整備員の気持ちがすこし落ち着くのではないかと思います。

 

私自身も運航する側の人でしたが、事故の原因というのは直接的な原因と間接的な原因が複雑に絡み合って発生するものと思っています。

 

山岳事故・救助態勢の維持

 

長野県は、埼玉県と愛知県に応援協定を結ぶ調整を事故後に開始した模様です。

埼玉県とは、3月30日に協定が締結、

愛知県とは、GW前には協定を締結する方向で最終調整のようです。

www.sankei.com

 

 

また、実質的な対応には応援協定だけではなく、警視庁航空隊がGW中に長野県にヘリコプターを応援派遣するようです。

  

flyteam.jp

 

各県、各機関の応援態勢が意味するところ

 

 当たり前のことではあるのですが、長野県の山岳事故対処機能が低下している状態ですので、そこに対して支援できる機関等が支援依頼に基づき応援するということです。

 本来であれば、多くの山岳を管轄する長野県の責任で自治されるところです。そのために、長野県としては県警ヘリコプター航空隊と消防防災航空隊という2つの組織を維持運営してきました。

 知らない方も多いのですが、他県でも同様な態勢が取られているところが多いのです。でも、ヘリコプターがあればいいというわけではない、ということを認識しているのは関係者だけだと思います。

 

ヘリコプターの性能を決める2つの要素

 

ヘリコプターそのものが持つ能力

これを理解するためには、乗用車をイメージしていただければいいかと思います。

 今度、みんなで旅行に行く時に車で行くことになったとします。誰が車を出すかを決めようとした時に、K君が「俺が出すよ」と言ってくれたとします。旅行の出発日に集合場所に現れたK君が乗ってきたのは、軽自動車。実は仲間は4人、荷物も多く車内は人と荷物で満載状態。運転席からルームミラーを見ると荷物しか見えない状態です。まぁ、なんとかなるかと思い出発したところ、山道で上りの連続。エンジンが悲鳴をあげながらなんとか登り終えたものの、皆は一様に疲れている模様でした。そして、そこにきてガス欠の恐れが・・・。いつも以上に過積載であったため燃費が著しく低下していました。なんとかガソリンスタンドまで到着して一安心。目的地へ向かいました。

 旅先で綺麗な女性グループと出会ったK君一行、次の目的地も一緒とのことでしたので、一緒に行くことに。でも、ここで問題が発生。女性グループの車は、国産高級車でK君の軽自動車とは段違いの走行性能。気の利く女性グループは、クルマの座席に余裕があるのでK君の車から自分たちの車に乗ったらどうかと提案され、運転手のK君以外は皆女性グループの車へ。K君は、荷物のみを乗せて女性グループの車を追いかけることに・・・・

 

 つまらない想定だったかもしれませんが、同様なことがヘリコプターの世界でも起きています。

 洋上を航行中の船舶で複数人の怪我人が発生し、早急に病院へ搬送しなければならないという状況は多くあります。この時に、主たる対応は海上保安庁が行うのですが、先ほどのK君の状況と同じく、ギリギリ救助できるヘリコプターの大きさであるかもしれないけど、燃費が悪くなるので航空基地と船舶の往復ができない!ということが発生します。そんな時に、自衛隊のヘリに応援要請がくるのです。

 また、山菜採りに出かけて帰ってこないお婆ちゃんの捜索をある県警ヘリコプターが行なっていました。運良く発見したものの、そのヘリコプターでは救助できるパワーがなく、結局自衛隊に応援要請。

 これは、よくあることです。自衛隊保有するヘリコプターは、有事を想定して導入されるので性能が良いものが多いです。でもお値段もかなりします。最近では、消防防災ヘリコプター、警察ヘリコプターなども高性能ヘリコプターを導入してきましたので、自衛隊が応援することも昔に比べたらかなり減りました。

dd.hokkaido-np.co.jp

 

ヘリコプターパイロットが持つ能力

 もう一つ、大事なのはヘリコプターの性能を最大限に発揮させるためのパイロットの存在です。

 パイロットです!というとパイロットではない人からすればなんでもできる人と思われがちですが、免許が一緒でも持っている能力というのは全然違うものです。

 自衛隊パイロットだけ見ても得意分野が大きく違います。

これに関しては以前に書いたブログを参照してください。

 

www.orekoko.com

 

私もプロの救助パイロットでしたので、すべてのことに精通していなくてはならなかったのですが、やはり限界があります。

それは、訓練環境です。

僕は比較的、高山岳地に近い基地での勤務でしたので、山の訓練も海の訓練も均等に行なってきました。でも、経験していないのが、北国での飛行訓練です。もちろん北海道でも訓練をした経験はありますが数回でしかも秋。雪上でのホバリングは、色々な意味で工夫が必要なんです。これは、経験している人にしかわからないと思います。冬になったらこの場でその工夫がなんなのかをお伝えしたいと思います。

 

自分の能力で足りないと思った時に

 

 今回、長野県はGW中の山岳事故や山岳火災での能力が不足すると見て、各機関等に応援をしてもらうことを決めました。そして、埼玉県と愛知県に応援を依頼して、警視庁からもGW期間に応援をもらえることになりました。このニュース報道を見て、担当者の方々は大変な調整をされたんだと思います。県が違えば運用に関しても考え方が違うので、担当者はりん議を通すのに苦労したはずです。

 

 このニュースを見て感じたのは、自分たちの身の回りでも、もっとこのような支援態勢があれば助かる人が多くいるということです。

 

 仕事において、自分の持っている仕事が多くなり、とてもじゃないけど一人では処理できなくなった時に、能力に余裕のある人に

「支援してください」

と一言言えるかどうか。この一言が自分から出せるようになった時、その人は自立することができている、言えると思います。

 自立というと、すべてを自分だけの力で行わないといけない気がしますが、そんなことができる人なんて、そうそういない!ということに気づくことが大事だと思います。

 

自立というキーワードを考えた時に、

なんでも自分でできる、というマインドから

自分のことをよく理解して、自分ができないことを理解している、というマインドにシフトしませんか。

 

自分ができないことを理解できれば、できることが明確になる。そして、できないことはできる人に支援してもらう。

 

さらにここに大事なことが。

自分ができることが明確になれば、そのできることで他者を支援できませんか?ということ。

 

自分にとって当たり前の能力、ノウハウが、他者にとってはお宝級のものであることが多いのです。

 

だから、自分をよくしりできることを認知、認識することができたら、まず、他者を支援することから始めてみる。それが、回りに回って、自分が必要な支援を受けられることに変わってくると思います。

 

まとめ

 

今回は、埼玉県と愛知県が支援の手をさしのべましたが、これは長野県ができないことを把握していたからこそです。もし、長野県がプライドが高く、警察ヘリコプターだけでなんとかできます!って言い始めたら、誰も支援の手を差し伸べることはできないですよね。

まずは、自分のことをよく知り、できることを認識する。そうして、わかったできないことはできる人から支援を貰えばいい。

でも、その前に必要なことは、まず自分のできることを支援していこうというマインドです。

大きな原則論

 人は本気の支援をした相手から出ないと、本気の支援を受けることはできない。

 本気の支援をしたからこそ、本気の支援を返していただける。

 

日々の生活で意識していきたい原則です。

 

 

 

折れない心 番外編 登山者の防災ヘリコプターでの救助 有料化(埼玉県防災航空隊)

元空自レスキューパイロットが折れない心をお伝えしています。

 

前回、29年2月に投稿した記事の内容について、再投稿します。

 

下の過去記事に書いてある、埼玉県防災航空隊のヘリコプターによる救助が有料化されるとの記事ですが、3月27日の埼玉県議会で条例改正案が成立されたようです。 

 

              過去記事

               ↓

www.orekoko.com

 

先日、事故があった長野県消防防災航空隊ほど、救助要請が多い場所ではありませんが、27年度のデーターでは11件の要請で、5件の出動をしたそうです。

 

請求されるのは燃料費相当を手数料とした約5万円(約1時間の救助活動を想定)のみ、ですので県の収入増が目的ではないことがわかります。

 

これを機に、登山者自ら行う、登山に対する安全対策を見直していく風潮が大きくなればいいなーと思っています。

 

だって、そうすることにより各県の税金使用額が減り、回り回って住民の生活の向上につながるはずですから。

 

災害救助活動は、登山などの普段予想されるものだけを想定されたものではなく、突発的に起こる自然災害などへの救助活動に対しての備えでもあると思います。

 

昨日、那須で発生した雪崩では、ヘリコプターを使った捜索や救助はできませんが、行方不明の方の早期発見と救助にあたる方の無事をお祈りしています。

 

 

 

www.asahi.com

折れない心 心理編 ヘリコプターパイロットの経験(長野県消防防災ヘリ墜落で思うこと)

空自元レスキューパイロットが折れない心についてお伝えしています。

今日は、長野県消防防災航空隊で起きた悲し事故から数日たち、思うところを書き連ねます。

 

 事故の原因究明

報道ベースでしか情報を取れないので、正直な所事故の原因を知るすべもありません。

 

そんな中、新聞やネット情報の見出しに、「事故の原因究明」という文字が飛び込んでくるので、そのことについて少しお話しします。

 

誰のための原因究明なのか

事故の原因究明という文字を読んだ時に、皆さんならどういったことを頭に思い浮かべますか?

 

おそらく、その人それぞれで持つ経験から、事故原因に対する考え方が違うと思います。

 

長野県は、当該事故を起こした当事者ですので、当事者目線で今後の再発防止策を、住民に対して示さなければならない、と考えるかもしれません。

 

警察は、もちろん県の職員という立場ですが、事件性がなかったかという立場にたつと思います。

 

ご遺族の方は、なぜ事故が起きたかを明らかにして、自分たちの愛した人たちへの気持ちを整理したいかもしれません。また、同様な事故が起きて、自分たちと同じ思いをさせたくないので再発防止を願うと思います。

 

そして、同業者であるレスキューパイロットは、パイロット自身の技術面やクルーとの連携がどうなっていたのかをはっきりさせたいと考えるかもしれません。

 

あくまで、自分の想像で書いてます。

 

言いたかったのは、情報源が一緒でも、その情報を得た人の「捉え方次第」で情報の解釈、価値が変わってしまうということです。

刑法:業務上過失致死傷罪

先ほどの、警察がどう見るかという点でお話ししましたが、警察はその業務上、刑法に則った捜査をしなければなりません。

 

ですので、現場検証や当該事故を起こした機関への聞き込みなどが行われるでしょう。

 

そして、航空専門家ではないので、得た情報を航空専門家への意見聴取をしたり、事故調査委員会発表の資料も使用するかもしれません。

 

こればかりは、私も航空事故の当該者から聞いただけですので、実際の捜査がどのようになっているのかわかりません。

 

でも、一つ言えるのが、関係者の皆さんが真実を追求し、事故再発のために努力した結果、それを検察が利用し、ある特定の個人の刑事罰を訴求することに繋がることを恐れます。

 

自分は裁判を経験したことがありません。

 

でも、裁判によってある人の人生が大きく変わってしまったことは知っていますし、そういう人と一緒に勤務をしたこともあります。

 

空を飛ぶ世界に戻ってこれたにしても、その代償は大きいものです。

 

今回の長野県消防防災航空隊の事故では、生還者がいなかったので当該パイロットなどはそのような思いはしなくて済むと思いますが、残された人の気持ちを考えると、同様なことがあるかもしれません。

 

なくなった上に、業務上の過失があったと認定されたら、心が穏やかではないと思います。

 

 

国土交通省航空・鉄道事故調査委員会

 

先ほど、事故調査委員会と言いましたが、国土交通省に設置されているものです。

 

これは、1971年に自衛隊戦闘機に全日空機が接触し両機とも墜落した事故以降、その事故教訓から設置されたもので、当初は航空事故調査委員会だったものが、列車事故も扱うようになり、航空・鉄道事故調査委員会となったものです。

 

自衛隊にも航空事故調査を行う部隊があり、その事故の教訓収集、原因究明を行なっています。

 

どちらの機関の調査委員会や部隊にしても、事故調査の権限は警察・検察にあるのが共通した力の弱さというものがあります。

 

この委員会では、事故に対して過失があったとなどという権限はなく、事故に至るまでの背景、当日の状況(人、環境)を調べ、事故に至るまでの過程を丹念に調べ、最終的に事故の主要因、副次的な要因を以後の再発防止のためにまとめることが主任務となります。

 

ジレンマ

事故調査委員会は、真相究明のために努力するのですが、その得た資料を元に警察・検察が誰かの過失を立証する資料にもなりかねない。

 

もし、私が今回の事故機パイロットと親交があった場合、故人の名誉を汚すことに繋がる発言はしたくありません。

 

真に事故の原因をパイロット仲間で話し合うときは、個人の名誉とかは関係なく、いちパイロットとしての判断ミスがなかったか、クルーとの連携はどうやっていたのか、なぜ墜落に至ったのか、など多方面で検討します。

 

情報の裏側、表側というのは、このように出来上がっていくものです。

 

 

ヘリコプターの低空飛行

今回、事故機は訓練へ向かっている最中(開始直前?)と聞いています。

マスコミ報道を見ていると、なぜ事故が起きたか不思議である、というようなことも言っていますが、私から言わせると、

 

いつ事故が起きてもおかしくない環境で訓練しているんだよ!

 

と大きな声で言いたい。

 

もちろん、自ら危ないことをやっているのではなく、災害救助の場面とは、完全に安全な場面だけではないということです。

 

その中で、最も安全に実施できる方法を考えるのがプロのパイロットです。

 

そして、その能力をどこで培うかというと、訓練、なんです。

 

パトカーに例えると、パトカーの運転手は警察官です。

犯罪者を捉えるための運転技術は、事故を起こしてはいけないから教習センターなどで練習していて、本番に備えています。なんて、言わないですよね。

 

普段の道路交通状況の中で、自分の運転技術を高めていざ本番である事件に備えるわけです。

(もちろん特別講習などで訓練されていると思いますよ。この辺り知識がないので嘘を言っていたらすいません。)

 

話を戻して、空の話です。

 

訓練だからと言って、普段から民家の上で救助訓練をされたり、登山客がいるすぐ横で救出訓練が始まったら、誰かに危害を及ぼすことになりますよね。

 

航空法

そこで、空を飛ぶ人のために、航空法というものがあります。

 

この法律、昭和29年に定められたもので、その都度改定されています。

 

その中に、航空機が飛ぶときに守らなくてはいけない、最低高度というものが書かれています。

 

これは、安全を確保する上で必要な最低高度という意味で規定されています。

 

航空法には、細部まで規定されている、航空法施工規則というものがあります。

 

今回は、その部分を抜粋して記載しました。

 

最低安全高度

 

(最低安全高度)
第百七十四条  法第八十一条 の規定による航空機の最低安全高度は、次のとおりとする。
一  有視界飛行方式により飛行する航空機にあつては、飛行中動力装置のみが停止した場合に地上又は水上の人又は物件に危険を及ぼすことなく着陸できる高度及び次の高度のうちいずれか高いもの
イ 人又は家屋の密集している地域の上空にあつては、当該航空機を中心として水平距離六百メートルの範囲内の最も高い障害物の上端から三百メートルの高度
ロ 人又は家屋のない地域及び広い水面の上空にあつては、地上又は水上の人又は物件から百五十メートル以上の距離を保つて飛行することのできる高度
ハ イ及びロに規定する地域以外の地域の上空にあつては、地表面又は水面から百五十メートル以上の高度
二  計器飛行方式により飛行する航空機にあつては、告示で定める高度

 

知らない人が見たら、よくわからないと思いますので少し解説します。

1 大前提、陸上部でも洋上部でも人や家屋に危険を及ぼしてはいけません。

(高速で飛行する戦闘機が衝撃波で起こす影響は別の規則で安全を確保していますので、この規則には当てはまりません。)

 

 

2 人や家屋が密集しているかどうかの判断は、この条文でははっきりとしていませんが、山中にある一軒家と市街地にある住宅街をイメージするとその違いがわかると思います。

  簡単に考えると、通常の住宅密集地などでは、そんなに高い建物がないので約300メートル(1000フィート)以上を飛行します。

  それが、高いビルなどが多くあるところを飛行するときは、そのビルの高さから300メートルの高さを飛ばなくてはいけないので、東京都心では少し複雑です。

わかりやすい図を使った説明をしている人がいたので参考にさせてもらいましょう。

hamapro.blog.so-net.ne.jp

ヘリコプターが離着陸するときは、この最低安全高度以下に降りていく必要がありますので、都心であったもビルの近くを飛ぶことがありますので、勘違いしないでください。

 

最低安全高度というものがあったら、災害救助現場を想定した訓練ができないですよね?

 

その時のために、現場パイロットは最低安全高度以下の飛行を国土交通省管轄の航空局または空港事務所に提出して、その許可を持って訓練をしているんです。

 

元職場では、サイアン(最低安全高度の最・安をもじった略)と呼んでましたが、一般的には81条(航空法で第81条が最低安全高度)とか言っているのを聞いたことがあります。

 

以下にその許可をもらうときに必要な規則を抜粋しています。

低空飛行の許可

(最低安全高度の飛行の許可)
第百七十五条  法第八十一条 但書の許可を受けようとする者は、左に掲げる事項を記載した申請書を国土交通大臣に提出しなければならない。
一  氏名及び住所
二  航空機の型式並びに航空機の国籍及び登録記号
三  飛行計画の概要(飛行の目的、日時、径路及び高度を明記すること。)
四  最低安全高度以下の高度で飛行する理由
五  操縦者の氏名及び資格
六  同乗者の氏名及び同乗の目的
七  その他参考となる事項

 

業務の分担により、国土交通大臣の代理が航空局と空港事務所に割り振るされています。

簡単に分けると、

 

空港事務所:日中、飛行機が少し低い高度で捜索のための訓練をするとき

 

航空局:人や物をつり下げたりするとき(ヘリの救助訓練や物資運搬)や夜間での抵抗度飛行

 

ですので、元職場でこの業務をよくやっていたので両方へ申請書類を提出してました。

 

今回の事故は、訓練中でしたのでおそらくこの申請を出していると思いますが、報道上う方では、どの区域で申請されているかがわからないです。

 

さらに深く考えて見ましょう。

 

事故が起きた時は、許可申請が間に合うの?

実際に災害や行方不明者を救助するときは、この申請を出した後に飛行しているの?

 

そうですよね、そう考えるかもしれません。

 

でも、そんなことをしていたら人命を救うことはできないです。

 

東日本大震災では、数え切れないほどのヘリコプターが救助活動していましたから、そんな申請をするのも大変ですし、申請を受け付ける側も審査できないですよね。

 

そのために、次のような条文が法律で規定されています。

 

(捜索又は救助のための特例)

第百七十六条  法第八十一条の二 の国土交通省令で定める航空機は、次のとおりとする。
一  国土交通省防衛省警察庁都道府県警察又は地方公共団体の消防機関の使用する航空機であつて捜索又は救助を任務とするもの
二  前号に掲げる機関の依頼又は通報により捜索又は救助を行なう航空機
三  救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法 (平成十九年法律第百三号)第五条第一項 に規定する病院の使用する救急医療用ヘリコプター(同法第二条 に規定する救急医療用ヘリコプターをいう。)であつて救助を業務とするもの

 

 

 

つまり、事前に国などの期間で捜索・救助する航空機は、実際の任務では何も考えずに救助活動ができるようになっています。

 

民間機を持っている人が救助をしたい!というときは、この法律では除外されません。

 

もともとこの法律ができた頃には、そんな人たちがいなかったから盛り込まれていないだけかもしれません。

 

私は将来的に、自分で山岳救助ヘリを運行する会社を運営したいなという夢があります。

 

そのときは、空自のOBがその能力を発揮してくれると思います。あとは、資金の問題・・・・

 

 まとめ

今回、事故に対する捉え方は、その立場によって大きく変わるということを初めにお伝えしました。

 

それを踏まえて、低高度での訓練をするにあたりどのような許可だ必要であるのかを考えて見ました。

 

全てのプロパイロットはこの規則を知った上で訓練していますので、法的には問題ない状態で日頃の訓練を行なっていると思います。

 

ただし、規則に精通している人と、そうではない人がいるので、その解釈に齟齬が出るかもしれません。

 

ましてや、報道で流れる情報は、情報元がはっきりしないので信ぴょう性があるのかないのかもわかりません。

 

そんなに低高度に降りなくても、ホイスト(救助するウィンチ)があるから高いところで救助すればいいんじゃないの?と思うかもしれません。

 

でも、高い高度で救助したときに、救助員と遭難者が機内に収容されるまでのリスクが高まります。ホイストを長くのばしたことにより、大きく揺れる可能性もあります。

 

短時間に救助する、リスクを少なくするために、自分の機体をギリギリのところまで下ろす。これは、誰もがやっていること。

 

その中で、事故が起きないように外の監視を行っています。

 

そういった訓練をやっていたと、多くの人には理解して欲しいです。

 

そのことが、現場で働く人のやる気につながり、困難な状況にも折れない心を保てる一つのリソースになるのです。

折れない心 番外編 長野県消防防災航空隊ヘリコプターの墜落 元レスキューパイロットが言いたいこと

元空自のレスキューパイロットが折れない心を伝えています。

 

今回、言わせて欲しいことがあります。

 

 

事故に遭遇した長野県消防防災航空隊のヘリコプターに搭乗されていた全てのご家族、縁者の方へ

 

みなさんの愛する、息子さん、旦那さん、お父さんそして、恋人だった方々は、住民の救助という崇高な任務を行うために、日々、自らの危険と隣り合わせの訓練を続けていました。

 

誰もが、県の財産であるヘリコプターを墜落させたいとは思っておらず、最後の最後まで、命を救うための活動に取り組んでいました。

 

これから、過去の事故などの情報を元に、事故原因の調査が行われることと思います。

 

専門家という人の推測という、最もらしい情報が報道されると思います。

 

専門家でない人の憶測での報道もあると思います。

 

でも、一つだけ信じてください。

 

事故の原因が、航空機のトラブルであったにしろ、人為的なミスであったにしろ、みなさんの愛する人たちは立派な人だったということ。

 

事故の原因が究明されるべきです。

それは、同様な事故を防ぐためであり、誰かを悪者にしたいわけではありません。

 

誰かを責め始めたら、誰も救われません。

 

私は、親族を事故などで失ったことはなく、本当にみなさんの心情を理解しているかといえば、そうではないと思います。

 

私は、とても信頼する先輩パイロットや尊敬する救助のプロフェッショナルを航空事故で失いました。

 

彼らを荼毘に付すまで見送りました。この世にすでに肉体はありません。

 

それでも、私の中には、生前のみなの笑顔と救助に対しての真摯な思いが生きています。

 

今回、失ったものも多いです。

 

でも、彼らが残してくれたことも多いはずです。

 

それだけは、忘れないでください。

 

まだ、事故現場で救助を待つ隊員がいます。

 

最後まで、望みを捨てずに待ちたいと思います。

 

また、これから救助に向かわれる全ての人が無事帰還することを願っています。

折れない心 元パイロット ラジオ出演編 名古屋 多治見

いつも折れない心ブログに訪問していただき、ありがとうございます。

今回は、先日ラジオ出演させていただいた時のデーターをいただきましたので、

周平の生声で「折れない心」をお伝えします。

約10分の内容です。

放送内容にご質問がある方は、気軽にコメントを残してくださいね^^

www.youtube.com

折れない心 番外編 JALの事例から見るパイロット教育

やったー! 日本航空パイロット教育再開の結果がようやく実りましたね。

www.chunichi.co.jp

 

 

JALといえば

若い世代は、経営破綻したことさえ知らないかもしれませんね。



戦後の航空業界史までは遡りませんが、昭和時代までは日本の航空業界は以下の3つの会社で構成されていましたね。

 

1 日本航空JAL

2 全日本空輸ANA

3 東亜国内航空TDA)

 

その後、平成の始まる直前に東亜国内航空日本エアシステムJAS)に社名が変更になりましたね。

 

そして、平成18年に航空業界の大改革でJASJALに吸収合併されてしまいました。

 

ここがポイントです、子会社ではなく吸収合併です。

 

航空業界の任務分担

これは、航空業界や飛行機好きの人には当たり前の話だと思いますが、改めて紹介しますと、

 

JAL → 国際線

ANA  → 主要国内線

JAS → 地方国内線

航空自衛隊 → ギリギリ路線

 

となっていました。この事実、私はパイロットになってからしばらくしてから知りました。

 

だから、未だに知らない人もいるのかも?って思っています。

 

日本航空経営破綻

飛行機によく乗る人ならわかると思いますが、地方路線というのは需要があるのですが、赤字路線が多くありましたし、今も収益を上げるために機材の小型化、ダイアの変更などが行われています。

 

日本の高度成長期に、国の方針なのか地方の要求(議員経由)なのか、やたらと地方に空港が整備されて来ました。

 

そのおかげで、赤字路線を維持しなければならなかったJASの維持ができなくなり、国の指導のもと(推測)JALに吸収することになりました。

 

そして、赤字路線を受け持ったJALは、今まで別会社だった 人員、機材、システムをJALの中に統合させて行かなくてはいけなくなるのです。

 

結果、

 

経営破綻

 

パイロットは苦難の道へ

経営破綻したのち、稲盛和夫が経営再建を任されました。その辺りは、本屋にいけば必ず目につくので今度読んでみてください。

 

今回のブログで注目したパイロット教育ですが、実はこの経営破綻した時に自社養成パイロットとして採用された多くの人、または訓練途中の人は訓練を中止しなければいけませんでした。

 

また、現役パイロットもパイロットを降りるか、職を求めて他社(海外含む)に移ることを求められました。

 

平成22年に経営破綻したのち、約7年間は自社でパイロットが養成できていない状態が続いていたそうですが、今年、地上勤務をしていたパイロット候補生達が空に飛び立つそうです。

 

JALは、今では一企業ですが航空力というのは国の財産なんです。

 

航空業界に関わらず、人を育てるのに時間、労力そして多額の資金が必要な分野は継続した人材育成をしないと、安定的な成長ができなくなります。

 

見た目上は、今後パイロットの数は増えていきますが、この数年間で経験していたはずの飛行時間が戻って来ません。

 

人数も大事ですが、経験値がとても大事なパイロット。

 

個人個人で持っている技術によって、できることとできないことがあるのは知られていないと思います。

 

パイロットレベル

簡単にいうと、機長と副操縦士というのはわかると思います。

 

それ以外に、各社ごとに基準を作って、技能レベルに応じてできる業務範囲を決めています。

 

空港で天気が悪い時に航空機が着陸できず、引き返すことに遭遇した人もいると思います。

 

着陸する時には、その時の視程(どれくらい水平距離が見えるか)と雲底(雲の一番低いところの高度)で着陸できるかできないかを決めていて、パイロットはその資格別でその距離が変わるんですよ。

 

より高い能力を持っている人は、天気が悪くても着陸できる「資格」を持っているんです。

 

この資格は、会社ごとに決まっているので、ANAでも降りられる人と降りられない人が同空港に存在した時、一方の飛行機は着陸し、一方の飛行機は着陸できずに違う空港に戻る、ということも起こり得ます。

 

これは、航空自衛隊も一緒です。

 

航空自衛隊パイロット教育でも、実は・・・・

詳しい数字は言えませんが、東日本大震災航空自衛隊は多くの航空機を津波で失いました。

 

その中で一番の被害を受けたのが Fー2B です。

f:id:rescueJ:20170227164336j:plain

 

JALとは条件が違いますが、パイロット教育で必要な飛行機がなくなったので、今までの計画通りには教育ができなくなりました。

 

この余波が今後どのように出てくるかはわかりませんが、少なくともこの数年間で育つはずのFー2パイロットが減ったことは間違いありません。

 

まとめ

今回、JALで苦渋を舐めたパイロットが日本の空に飛び立つことは、我々航空業界の者にとっては嬉しいことです。

 

一般企業もそうですが、新入社員の採用をしなかった時期があると思います。

 

この間、技術の伝承や企業構成員の年齢構成がガタガタになっている会社が多いと思います。

 

技術だけでなく、世代間ギャップが今後も会社の成長に必要な解決しなくてはいけない課題ですね。

 

継続した教育

 

時代に応じて変化させる必要がありますが、この原則が強さの秘訣になります。

 

教育者の皆さん、応援しています。

 

コツコツやっていきましょう!!

 

 

折れない心 番外編 パイロット教育の原点

元空自のレスキューパイロットが折れない心を伝えています。

 

みなさん、こんにちは。

 

いつもブログを読んでいただきありがとうございます。

 

最近、フェースブックでお友達になった方のお子さんがパイロットを目指していると聞きました。

パイロットってどうやったらなれるの?

 

高校生時代に、そんな問いに答えられる人は周りにはいませんでした。

今日は、そんな方に高校卒業資格だけでパイロットになれる道があることをお知らせします。

 

 

 

 日本唯一のシステム

 

私は、昔から宇宙に興味がありました。

 

昭和の終わる頃、日本の宇宙開発は過渡期で、当時はJAXAではなく、複数の開発機構がありました。

2003年10月1日付で日本の航空宇宙3機関文部科学省宇宙科学研究所 (ISAS)・独立行政法人航空宇宙技術研究所 (NAL)・特殊法人宇宙開発事業団 (NASDA) が統合されて発足した。(引用:wikipedia 宇宙航空研究開発機構

今では、H-ⅡAロケットなどで、自国の衛星を打ち上げることを誰も特別なことと思わないと思いますが、当時は失敗続きでした。

 

そんな中、アメリカのスペースシャトルは夢のある存在でした。

 

もちろん、事故など悲しい事件もありましたが、飛行機のような形状の宇宙船が、宇宙で任務を行い、大気圏に再突入する。

 

昔、飛行機モノのゲームがゲームセンターによくあって、最終面がスペスシャトルで宇宙空間からの着陸でした。(これが難しい・・・)

 

その宇宙船であるスペースシャトル、操縦していたのはどんな人か知ってますか?

 

空軍、海軍のパイロット出身者だったんです。

 

宇宙船は軍隊のパイロットが操縦するんだ!

当時、中学生だった私は日本も将来、有人宇宙船を開発したらパイロットは自衛隊から選ぶのでは?と、考え密かに募集要項を調べました。

 

が、自衛隊パイロットはどのようにしてなるか知りません。

 

私は北海道出身ですが、自衛隊といえば陸上自衛隊です。

 

航空自衛隊の姿形を見たことなんて一度もなかったです。

 

それで、よくわからないことは興味が湧かなくなりました^^;

その後、科学者などのエンジニアなどがスペースシャトルに一緒に乗り込むことを知り、、とりあえず理系の勉強をしとくかー、と落ち着いたのを覚えています。

大学受験をするつもりが・・・・

月日が流れ、高校3年生の春です。

 

引き続き、理系の大学に行くことと、できれば宇宙関連の勉強ができる学部のある大学を目指していました。

 

母校には進路指導室というものがあって、その担当先生がよく言っていたのが、防衛大学校を受験しなさい、ということでした。

 

防衛大学校に行けという意味ではないです。

 

知っている人はよく利用するのですが、この受験日が年内なんです。

 

だから、大学受験のプレテストで力試しで受験しなさい、ということだったんですね。

 

受験料も無料だったので、受験申し込み用紙をもらいに行きました。

 

運命の出会い

当時、北海道の江別市に住んでいましたので、野幌にある地方連絡部募集事務所(略して、地連)に同級生と行きました。

 

そこには、陸上自衛隊の制服を着た人が何人か居て、募集案内について仕事をしてます。

 

一通り説明を受けて帰ろうとした時に、地連の人が運命の言葉を・・・

 

「こんなのもあるよ。君の学力ならチャレンジできると思いますよ」

(若干記憶を美化してます)

 

渡されたパンフレットを見てみると、なんとそこには航空自衛隊パイロットになるあるコースが説明されていました。

 

航空学生

受験科目はそれほど多くなく、入隊後は2年間の基礎教育を受け、その後、航空機の飛行訓練を受ける。

 

入隊6年後には、幹部自衛官(士官)になり、一人前になる。

 

ここしかない!!

 

そう思いました。

 

だって、

お金がかからずに勉強できる。(自衛官になるので給料が出る)

しかもパイロットになれる。(海上自衛隊のコースもありました)

 

と、いうことでそこからの私は大学受験の道はすて、この航空学生になることを目指したのです。(続く?)

 

参考までに、教育部隊のHPと入隊後の生活の模様がyuotubeにありましたのでご覧ください。

 

 

航空学生教育群| 防府北基地| [JASDF] 航空自衛隊


動画でわかる!航空自衛隊_航空学生の一日